こんにちは。東京で活動しております認定セラピストの叶 紗央理(かない さおり)です。
猛暑日が続いていた8月から一転して、朝晩はだいぶ涼しくなってきましたね。
普段私は事務職をしているのですが、出勤と帰宅時に毎日顔を合わせていた、散歩中の犬たちがまた同じ時間帯に散歩するようになったので、久しぶりの再会を密かに喜んでいます。
あなたがやりたいことは何ですか?
以前X(旧Twitter)で以下のような投稿を見かけました。
『人生の終わりに人が後悔するのは、やったことで失敗したことよりも、やらなかったことの方だ』といった内容で、海外の看護師さんの言葉だと書かれていました。
タイムライン上で一瞬見かけた投稿で、うろ覚えだったので出典を調べたところ、いくつか元になった言葉がありました。
その中の一つ、オーストラリアの看護師であるブロニー・ウェアという女性の本に似たような言葉はあるのですが、完全に同じではなく、他の作家や心理学の研究論文、格言などから派生して、SNS上では上記の言葉で広まっているようです。
この言葉を思い出した時、まさにその通りだと感じました。
やらないことで得られるもの
10年くらい前までの私は思い立ったらすぐ行動して、動きながら考えるタイプでした。
ところが大きな病気を経験したことから、それまでとは別人のように動けなくなりました。
病気になって絶望したことをキッカケに、それまで抑圧していた苦しさが溢れるようになって、行動や挑戦することが出来なくなっていきました。
強い不安と恐怖を感じながら生きていく中で、自然と自分に向き合うようになって、愛着障害だったことに気づきました。
生活のため仕事は再開できましたが、何かやりたいと思って新しいことを始めても、途中で面倒になってきたり、辛くなって辞めることを繰り返していました。
面倒だから、辛いから、不安だから、怖いから…そうやって同じ場所にとどまって動かないでいることで、得られるものがあります。
やっても上手くできなかったり、失敗した時に、恥ずかしい思いをしたり、出来ないダメな自分を感じないで済むことができます。
出来ていない劣った自分を知られることで、相手に拒絶されたり、嫌われたり、見捨てられる恐怖を感じないでいられます。
動かないでいれば、無価値観や自己否定などの嫌な感覚を避けられて、現実に怖いことは起こらず、安心でいられるのです。
やらないことで失うもの
何かをやることで、嫌われたり、孤独になるかもしれないという不安が強いと、挑戦するより回避することを選ぶようになります。
回避ばかりで行動しないようになると、人生は停滞していき、結果として何も得られていない…という状態になっていきます。
やらなかった後悔や、出来ていない自分はやっぱりダメだという自己否定も強まります。
以前の私がまさにそうでした。
嫌な感覚や恐怖を避けることで、一時的な安心を得られても、長い目で人生を見た時には、得られていないものの方が多いのです。
抜け出すために必要なこと
愛着障害のある方は、幼少期の親子関係において、”ありのままの自分”を受け入れてもらった経験が少ないことから、他者との間で「安心できる繋がり」や「自分は大切な存在である」という感覚が十分に育っていないことが多いです。
そのため、失敗したら拒絶されるという不安から、行動することや挑戦することに対して、恐怖を感じやすくなります。
動かないでいることが安心なので、そこから出ることは未知の恐怖になります。
その状態から変わっていくためには、今感じている不安や恐怖は本当に起こることだろうか?と自分に問いかけていくことが大切です。
以前の私が考えていたような「上手くできなかったら、もし失敗したら、人に馬鹿にされたり、拒絶されたり、嫌われたり、見捨てられるかもしれない…」という不安や恐怖は、現実には起こっていない頭の中の想像です。
その想像を膨らませることで、現実の恐怖を避けて、何も起こらないという安心を得ている状態ですから、これは本当に現実に起こるのだろうか?と一つ一つ確認していくこと、その上で、どうしたいのか?と自分に問いかけて決めることが大切です。
またこの想像は、「人にどう思われるか?」を意識して気にしている状態なので、「他者の存在」を常に気にしているということでもあります。
これは無意識に、「自分は嫌われて見捨てられる存在である」という思い込み(信じ込み)があるため、そうならないように、常に他者を意識して、人に嫌われるかもしれない行動は避けるようになっているのです。
実際に行動することで、もしかしたら、誰かに拒絶されて嫌われるという現実が起こるかもしれませんが、そうでない場合も多くあります。
まずは動いてみないとわからない、という状況は多くありますが、不安や恐怖が強い場合は、それが逆効果になる場合もあります。
頭ではわかるけれど、すごく不安で怖くて、動くことができない、動くことが怖い…という場合は、トラウマがある可能性が高いため、無理には行動しないで、まずはカウンセリングやセラピーをご検討ください。
未来の自分に向けて
新しいことを始めたり、これまでとは異なる『新しい生き方』を選ぶことは、自分の人生の責任を負うということでもあります。
その未知の恐怖を選ぶよりも、苦しくてもこれまで慣れ親しんだ感覚や生活を選び続ける方が楽だという場合もあるでしょう。
以前の私がまさにそうでした。
不安や恐怖が強すぎて、「やりたいけどできない」という状態が何年も続きました。
そこから変わっていくには時間がかかりました。
リトリーブサイコセラピーの応用実践コースのアシスタントとして、前回の講座に参加した時にあるワークを体験しました。
これは、たくさんの学びや経験を経て、人生の終わりを迎えて、まさに今この世を去ろうとしている未来の自分に会いに行く『賢者のワーク』というもので、終了後は感動して泣いている方も多くいました。
賢者として現れる未来の自分に出会うことで、今の自分に意識が向いて、癒されるという体験をすることができました。
もしも、皆さんが賢者に出会えたら、聞いてみたいことや伝えたいことはありますか?
よりよい未来になりますように…それでは、また。

コラム担当者の紹介:協会推薦セラピスト 【東京】叶 紗央理
