一番困る質問

「あなたはどう思いますか?」

会議室で上司にこう聞かれたとき、頭が真っ白になる。本当は言いたいことがあるのに、口が開かない。周りの顔色をうかがいながら、「こう言ったら怒られるかな」「違う!間違っている!と否定されるかな」「これを言ったら変だと思われるかな」と頭の中でぐるぐる考える。

勇気を出して言おうか迷うも、上司の表情からは不機嫌な様子がうかがえる。心臓がバクバクする。手に汗がにじむ。

結局、「○○さんの意見に賛成です」と当たり障りのない答えを口にする。会議が終わる。「今日もなんとか乗り切れた」と安堵しながらも、また自分の意見を言えなかった、そんな自分を責めたり、呆れたりしながら、少しずつ自信を失っていく。

正解を探す日々

これは会議だけの話ではありません。友達とのランチ、恋人との会話、親からの電話。日常のあらゆる場面で、私たちは相手の顔色を見て、正解を探しています。
どうしてそんなに正解を探すのでしょうか。

答えは単純で、怖い気持ちが強いからです。

自分の意見や気持ちを言って

・否定されるのが怖い
・怒られるのが怖い
・バカにされるのが怖い
・嫌われるのが怖い
・見捨てられるのが怖い

だから、正解が欲しくなります。

・絶対に間違えない答えが欲しい
・誰も傷つけない言葉が欲しい
・みんなが納得する意見が欲しい

そうすれば安心できる。
そうすれば「自信」がつく。
そうすれば、絶対的な安心感が得られる。

最近では、AIに答えを求める人も増えました。たとえ、AIに正解を求めても、その安心感は得られません。なぜなら、AIは間違ったことも言うし、その責任も取ってくれないからです。結局、不安はそのまま残ります。

正解探しの落とし穴

あなたが求めている「正解」はあなたの不安を安心感に変える為の「正解」。それは、相手を喜ばすための「正解」でもあるのです。
その「正解」を得続ければ自信がつく。そう考える人もたくさんいます。

本当にそうなんでしょうか?

正解を探せば探すほど、自信は失われていきます。なぜなら、正解探しは自分を消す行為だからです。
頭を真っ白にして分からなくすることで、自分の感覚を消している。だから、相手の答えばかりを探すことになります。
自分の感覚が分からないからこそ、「私はどう感じているのか」「私はどうしたいのか」という自分への問いかけを、「相手は何を望んでいるのか」という問いかけにすり替えてしまいます。

本来、自信は自分の感覚を信じてやってみることで育ちます。成功すれば自信になる。失敗したとしても、やり直すことで「自分にはやり直せる力がある」と分かり、それもまた自信になります。

でも、自分の中で答えを出すことに怖さを感じて自分の感覚を消していると、この経験ができません。自分の感覚が信用できなくなり、やってみることもできなくなります。
それどころか、相手が思いつきで言っただけのことに振り回されることもあります。それに従って失敗したら、相手を責めたり、不満だけが募っていく。
そして、自信はますます失われていきます。

何年も、何十年も、この繰り返しをしていると、自分が分からなくなります。

「私は何が好きなんだろう」
「私は何がしたいんだろう」
「私は何を感じているんだろう」
いくら自分に聞いても、答えが「ない。」
自分という存在が、空っぽになっていきます。

誰かの正解=親の正解

幼少期、親から呪文のように言われていた言葉

・「良い大学に行きなさい」
・「安定した仕事に就きなさい」
・「人に迷惑をかけてはいけません」
・「それぐらい我慢しなさい」
・「なんで勝手なことをするの」
・「だから言ったでしょ。あなたのやり方は間違っているわよ。」
・「30歳までに結婚して子供を産みなさい。そうしないと一人前の大人になれない。」

親の価値観が、世界のすべて
親の正解が、生きる道標
親の機嫌が、平和の条件

その枠から出れば、見捨てられる
その枠から出れば、怒られる
その枠から出れば、愛されない

だから、その枠の中にいることを選ぶ。
「これでいいんだよね?」「間違ってないよね?」と、いつも親の顔色をうかがいながら、これでいいのか確認。
そして今、大人になっても、同じことを続けています。

上司に、同僚に、友人に、恋人に「これでいいんだよね?」と、相手の顔色を見て、正解を探しています。

親自身も、同じように見捨てられる恐怖を抱えていたのかもしれません。子どもを自分から離さないように側に置いておきたいという孤独感。
自分のコントロールから外れると対応できないという強い不安感。世間や親の親からの批判を避けたいという思い。

親はこうした恐怖や不安から、子どもを自分の価値観の中に留めておこうとします。

大切なのは、これはあなたの問題ではなく、親の問題だということです。あなたは、親の問題を背負ってきただけなのです。

子どもの頃、選択肢はありませんでした。

親に従わなければ、生きていけませんでした。

だから、従った
だから、自分を消した
だから、親の正解を探した
それしか、方法がなかった。生き延びるために、最善を尽くしてきたのです。

ただ、その代償も大きいのです。

自分の意志を失い
欲求を失い
生きる力を失っていく

これは、自分の人生を放棄していることと同じです。この自己喪失が、今の生きづらさに繋がっています。

自分を取り戻す問いかけ

でも、今は違います。
今は、大人です
今は、選べます
今は、変われます

「自分を消す」ことを、やめられます。

そのために必要なのは、シンプルな問いかけです。

「本当は、私は何を感じているんだろう?」
「本当は、私はどうしたいんだろう?」

最初は、答えが出ないかもしれません。長い間、自分を消してきたのですから、すぐには分からなくて当然です。焦らなくていいのです。
少しずつ、自分の声に耳を傾けてみてください。そして小さな選択から始めてみてください。

「私は今日はケーキを食べる」
「私はどうしたい?」
「私はこの人苦手だな」
「私はこれが好きだな」
「私は何を伝えたいんだろう」
「私、また言いたいことを飲み込んだな。」
「私」を主語にして善悪関係なく、あなたが感じている感覚を拾っていく。

それが、自分を取り戻す第一歩です。

正解は、誰かの中にはありません。正解は、あなたの中にあります。


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