介護で揺れる心の正体

こんにちは。
東京を拠点に活動している認定セラピストのやまぐちさちこです。

最近、友人と会うと、以前は子育てや仕事の話が中心だったのに、親の病気や介護の話題が増えてきました。

40代、50代になると、多くの人が親の老いという現実に直面します。

そのとき、こんな気持ちを抱く人も少なくありません。

「もう限界なのにやめられない」
「本当はつらい。関わりたくない」

「そんな事を思う自分はダメだ」

「私しかいない。仕方がない」

心の奥底にある本当の願いとは

けれど、その気持ちの奥には、もう一つ別の思いが隠れていることがあります。

それは、

「もしかしたら今度こそ、親に認めてもらえるかもしれない」
「私を受け入れて、愛してもらえるかもしれない」

という願いです。

親の介護は、単なるお世話ではありません。
ときにそれは、子ども時代から続く親子関係の未完了を、もう一度やり直そうとするような出来事でもあるのです。

「毒親介護」という本を読んで

最近、『毒親介護』という本を読みました。関係性が悪くなくても様々な問題が起こる介護。さらに毒親となればどうなのか?
そこには、親の老いとともに浮かび上がる、複雑な親子関係の現実が描かれていました。

例えば、こんなケースがあります。

Aさん
・子どもの頃は兄ばかりが可愛がられていた
・年老いた母が「兄夫婦には頼りたくない」とAさんを頼る。やっと兄に勝てた!という密かな優越感
・「母には私しかいない」同居を始める
・母からのダメ出し、干渉が強く、母に生活を乗っ取られた感覚の中、次第に疲弊していく

Bさん
・母の世話が生活の中心となり夫婦関係が希薄に
・身の回りの事を本人が出来る事まで全て引き受け、妹曰く「召使いか奴隷」
・怒りを溜めながら尽くす
・「死ぬまでに一度でいいから“ありがとう”と言わせたい」

Cさん
・認知症の両親の介護のためキャリアを中断
・介護のストレスと過去の感情が重なり親子関係が衝突
・孤独と疲労の中で心身ともに追い詰められていく

介護が過去の感情を呼び起こす

こうした話を聞くと、「これは他人事ではない」と感じる人も多いのではないでしょうか。リトリーブサイコセラピーでも、親の介護に関する悩みを抱える方の相談は少なくありません。

子どもの頃に傷ついた経験があったり、長い間距離を置いてきた親だったりする場合、介護はさらに複雑な感情を呼び起こします。

「本当は関わりたくない」
「でも放っておくこともできない」
「親なのだから面倒を見るべきなのではないか」

自分でも矛盾だらけの気持ちや状態にとまどいを感じ、苦しむこともあります。

介護という出来事は、単なる生活上の問題ではありません。

子どもの頃から感じていた怒りや悲しみ、満たされなかった思いが、思いがけない形で再燃し、現れてくるのです。

「今こそ愛されるかもしれない」という心理

・親に認められたい
・自分の存在を受け入れてほしい
・親に愛されたい
・兄弟より自分をみてほしい

親に求める強い思いが、心の奥に残っていると、私たちは無意識のうちにこう感じることがあります。

「今こそ、親から愛をもらえるチャンスかもしれない」

子どもの頃に満たされなかった思いを、介護という場面で取り戻そうとしてしまうのです。

そして、やりたくない、関わりたくない、本当はイヤだと言いながらも、親のお世話を引きうけることで

・親を独り占めできる

・側にいられる、孤独を感じなくてすむ

・兄弟に買ったという優越感

・存在価値を感じられる

「必要とされている」という感覚を得たり、「いつかありのままの私を受け入れてくれるかもしれない」という希望を持てたりする。

そのため、どれだけつらくてもやめられなくなってしまうことがあります。

期待通りにはいかない現実

しかし、どれだけ尽くしても、親が期待通りの言葉や愛をくれるとは限りません。

むしろ、文句や愚痴ばかり言われたり、たまにしか顔を出さない兄弟にだけは優しかったりすることもあります。

介護をやりきって看取ったあと、
遺言には別の兄弟へ遺産を残すと書かれていた――。
そんな現実に直面し、どうしようもない怒りや深い絶望を感じる人もいます。

自分の人生を見失わないために

だからこそ、親の介護という大きな問題に直面したとき、その渦に巻き込まれて自分を見失う前に、一度自分の心と向き合うことが大切です。

もちろん、介護の最中にそんな余裕はない、という現実もあると思います。
それでも、自分の内側にどんな未完了の想いがあるのかを少し立ち止まって見つめることは、決して無駄ではありません。

親との関係を見つめ直す時間は、結果として自分自身の人生を見つめ直す時間にもなるからです。

介護サービスなど現実的な支援を利用することも大切です。
そしてそれと同じくらい、親との関係という心理的な側面を見つめることも必要だという事です。

もし介護や親の老いによって感情が大きく揺さぶられ、「自分しかいない」という極端な思いで心がいっぱいになってしまった時。そんな時には、心理セラピーという選択肢があることも思い出してみてください。

自分の心を理解することは、親と適切な距離感を取れるようになる、感情的なストレスが軽減する、他の人に助けを求められるようになる、自分の人生と介護のバランスを取れるようになる。そして「私しかいない」「やらねばいけない」と視野が狭くなっていた思考を「親の面倒は一切みない」という選択肢もある、と広く考えられるようになる。その上で自分はどうしたいのか、を選択する、など現実的な問題にも関わる変化につながります。

どうか一人で抱え込まないようにしてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

やまぐちさちこ

HP/ https://33miminowa.com

コラム担当者の紹介:協会推薦セラピスト 【東京】やまぐちさちこ

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