こんにちは。千葉・東京で活動しています、野沢ゆりこと申します。
寒波到来で寒い日が続いていますがいかがお過ごしですか?これから春に向けて寒暖差が激しくなるのでしょうか?春が待ち遠しいですね。
今日は劣等感について書きたいと思います。
劣等感とは「自分は人よりも劣っている」という感覚ですが、容姿、収入、性格、人脈、社会的地位など要因は様々です。
劣等感は誰もが感じたくない感情ですが、特別悪いものではありません。そもそも人は他人と比べ自分を測る生き物です。他人と比べて自分が劣っているとなれば、発奮して自分の欲しいものを手に入れようとしますし、劣等感から努力して自己成長できるのです。ですが劣等感が強すぎることは問題です。

「私という存在が劣っている」深刻な劣等感
以前の私がそうでしたが、深刻な劣等感を抱える人は多いのではないでしょうか。そういう人は「私という存在が劣っている。だから早く人並みにならないと!」という感覚が染み付いています。常に人と比較して人並みになることを目標に頑張っているのです。
劣等感が強いということは自己否定が強いということです。
「自分はダメで何の価値もない」そう思っているからこそ頑張らないと、と思っているのです。ですがこのような人は、たとえ頑張ってそうなったとしても満足しません。自分は劣っているという感覚が消えません。また誰かと比べて劣っていることを確認します。
あなたの周囲には、それ程容姿も悪くないし、学歴もあるし職業も立派なのに、なぜそんなに劣等感が強いのだろう?目標値を高く設定しているのだろう?という人がいませんか?
これらの深刻な劣等感は、実は自分のものではなく親の劣等感を背負ってしまったのかもしれない、ということを今日は書きます。
あなたも以前の私のように劣等感が強いのならば、あなたの親も劣等感の強い人ではありませんでしたか?
あなたは幼少期に親から「お前はダメだ」と責められたり、いつも否定されたり、バカにされたりしませんでしたか?あるいは高すぎる期待をかけられては「こんなこともできないなんて」とガッカリされませんでしたか?条件つきの愛情しかもらえなかったということはありませんか?
責任転嫁して自分を守ろうとする「外化」
「外化」という言葉を聞いたことがありますか?
「外化」とは文字通り「外に化ける」とあるように、自分の問題を自分の外側に無意識に置き変えることで自分を守ろうとする防衛反応のことです。
事例を挙げると、毎日不満げで不機嫌な父親がいるとします。その父親は自分の不満や不機嫌の原因を家族のせいだと思い込んでいます。
自分の心理的問題を外化する父親はこんなことを言います。
・子どもが言うことをきかない
・子どもの頭が悪い、成績が悪い
・妻が子供をちゃんとしつけない
・妻が家計をうまく管理できない
こうやって子どもや妻を責めるのです。
・俺がこんなに頑張っているのに!
・俺がお前らのために毎日苦労して働いているのに!
・何でお前らはそんなにダメなんだ!
・俺はお前が気に入らない!許せない!
こんなことを毎日言われたら、家の雰囲気は不穏になり子供は傷つきます。
ですが本当は子供や妻が悪いのではありません。この不満や不機嫌の原因は父親自身のものなのです。本当はこうです。
・父親自身が自分に失望している
・父親自身が自分のことを嫌いでたまらない
・父親自身が自分に対して、あるいは自分の親に怒っている
・父親自身が自分のことを一番ダメだと思っている
「自分がダメ」を「子供がダメ」「妻がダメ」に置き変えてしまうのです。
「家族にガッカリ」しているのではなく「自分にガッカリ」しているのです。
ですが無意識なので本人は気づいていません。
なぜかというと、自己が脆弱で自分の問題に向き合えないからです。
アルコールやギャンブルなどに逃げたりしますが、逃げ続けて状況はどんどん悪くなり、切羽詰まってしまい、無意識にその責任を自分の外側に置き変えてしまうのです。
「外化」とは簡単にいうと責任転嫁です。そうしないと自分の心を守れないのです。
・俺を何とかして!
・誰か俺の責任を取ってくれ!
母親のような愛情とお世話を家族に求めているのです。心理的には幼児なのです。

親の劣等感を背負い親を守ってきた「親子の役割逆転」
当の子供は無力で親に依存していますから、絶対的存在の親の言葉を信じ込みます。
・私って本当にダメな子なんだ。だから頑張らないと愛されない。
・このままでは受け入れてもらえない。だからもっと頑張らないといけない。
・期待に応えないと見捨てられる。
子供は強迫的に頑張ることがやめられなくなったり、逆に何をやっても無駄だと無気力になったりします。
いつも不満げで不機嫌な親に脅威を感じるものの、いつも辛そうにしている姿を見ると悲しくてたまりません。そのため子供は無意識に親を背負おうとします。
・私が親を喜ばせなきゃ
・私が何とかして親を助けなきゃ
・私が親の役に立たなきゃ
子どもなりにそう決意して、子供が親を助ける親子の役割逆転が起こります。
自分のニーズを後回しにして、親を優先するようになります。
自分がダメだからと強迫的に頑張る生き方も、自分は無力だと何事も諦める生き方も、自分を犠牲にして親を優先する生き方も、いずれのケースも「ありのままの自分では愛されない、居場所を失ってしまう」という信念を子供は持ちます。
これが深刻な劣等感の原点なのです。
親が自分を守るために自分の劣等感を子供に押し付けたこと、そして幼い子供がありのままの自分では到底受け入れてもらないと信じ込んだことが劣等感の始まりです。
実は親自身もその親(祖父母)の劣等感を背負わされたのです。ありのままの自分を否定されてきた可能性が高いのです。このようにして深刻な劣等感は世代間連鎖していくのです。
解決に向けて「親の劣等感は親に返していい」
では解決に向けてどうしたらいいのかというと、押し付けられた劣等感は親のものですから、親に返していいのです。そしてこれからは自分の問題に向き合えばいいのです。
親の問題は親が解決するべきもので、子どもが解決することはできません。背負う必要のない責任を背負ってきたことにまずは気づくことです。
そしてこれからは、自分がありのままの自分にOKを出すことです。
完璧ではない自分に、出来ないこともたくさんあるけれど、そんな自分でいいとOKを出すことです。
そして自分の外側に意識を向けて人に優越することや、人並みになろうと頑張るのではなく、自分の内側に意識を向けることです。
ずっと親に受け入れてもらいたかった。認めて欲しかった、けれどそれが叶わなくて悲しかったこと。親にもっと強くあって欲しかったこと。いつも笑っていて欲しかったこと。自分のことを後回しにしても、そう願わずにはいられなかった当時の小さな自分の声を聞くことです。
本当は無条件に愛して欲しかったし、自分の方が守って欲しかった、大切にされたかった。
本音を受け入れ傷ついた自分を癒すことです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。(認定セラピスト 野沢ゆりこ)

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コラム担当者の紹介:協会認定セラピスト 【千葉県】野沢ゆりこ
